2011/07/28

厚生労働省の「労使関係法研究会」が、労働組合法上の労働者性の

判断基準を初めて提示

厚生労働省の「労使関係法研究会」(座長:荒木尚志東京大学大学院

法学政治学研究科教授)は7月25日、労働組合法上の労働者性の

判断基準について報告書をとりまとめました。

労働組合法は、労働者と使用者とが対等の立場に立って交渉することを

実現すべく、労働組合の結成を擁護し、労働協約の締結のための団体交渉

を助成することを目的としています。

しかし、業務委託・独立自営業といった働き方をする人が加入する労働組合が、

契約先に対して団体交渉を求めた際、労働者ではないとして団体交渉を拒否され、

紛争に至るケースが生じています。

また,労働組合法で定義される「労働者」に該当するか否かについて判断が困難な

事例が多い中で、これまで確立した判断基準が存在しなかったこともあり、

このような紛争を取り扱った労働委員会の命令と、裁判所の判決で異なる結論が

示され、法的安定性の点から問題となっていました。

そこで報告書では、「労働組合法上の労働者は、労働基準法,労働契約法などとは

異なり、団体交渉による保護を与える対象者という視点で検討すべき」としたうえで、

(1)事業組織への組み入れ、

(2)契約内容の一方的・定型的決定、

(3)報酬の労務対価性―を「基本的判断要素」として整理し、

そのほかに「補充的」「消極的」の二つの「判断要素」を加え、

総合的に判断すべきとしています。

⇒厚生労働省HPコチラ

2011/05/20

地裁判決 労災不支給取り消し 「従業員時と実態不変」

脳出血で死亡した執行役員の男性(当時62)が労災保険法上の

「労働者」にあたるかどうかが争われた訴訟で、東京地裁の青野洋士

裁判長は19日、「労働者にあたる」として、労災保険の不支給処分を

取り消す判決を言い渡した。

原告側弁護士によると、執行役員が「労働者に当たる」とする判断は初めて。

男性は機械商社のマルカキカイで部長を兼任する執行役員を務めていた。

2005年に商談からの帰りの車中で体調不良を訴え、脳出血で死亡。

男性の妻の労災申請に対し、船橋労基署は「労働者に当たらない」として

退けていた。

青野裁判長は「一般従業員時代と執行役員時代の業務実態が変わらず、

一定額以上の取引では本社の決裁を仰ぐなど指揮監督を受けていた。」

と認定。

男性は毎月の経営会議に出席していたものの

「最終意思決定は取締役会でしており、経営会議の構成員だからといって

当然経営者ということにはならない」として、

男性の労働者性を認めた。

死亡が業務の多忙さに起因するかどうかは判断しておらず、原告側は改めて

労基署に労災認定を求める。

(日本経済新聞)

通常役員等の経営に関わる業務をされる場合、「労働者」とは違い、

いわゆる大企業などの経営者等は労災保険の被保険者とならないのですが、

(中小企業等の経営者等は第一種特別加入などで労災保険に加入できます)

今回、執行役員が「労働者に当たる」と初めて判断をされた判決でした。

2011/03/08

過労で精神疾患を発症して酒を飲み過ぎ、急性アルコール中毒で死亡した

システムエンジニアの男性(当時25)の両親が勤務先に1億円の損害賠償を

求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であり、上田哲裁判長は会社の責任を認めて

約5,900万円の支払いを命じた。

原告側の川人博弁護士によると、過労死をめぐる訴訟で、精神疾患による急性

アルコール中毒死に対する会社の責任が認められるのは初めて。

男性に対しては中央労働基準監督署が2007年に労災認定している。

原告側によると、男性は03年、システム開発のフォーカスシステムズ(東京)に入社。

05年ごろから月によっては残業が100時間を超すなど勤務時間が長くなった。

06年9月、突然無断欠勤して京都に行き、鴨川沿いでウイスキーを一気に飲んで

死亡した。

上田裁判長は男性の行動が、突然放浪するなどの症状がみられる精神疾患の

「乖離(かいり)性遁走(とんそう)」によるものと認定。死亡と業務の因果関係を認め、

「長時間勤務の負担を軽減するための安全配慮義務違反があった」と会社の責任

を指摘した。

賠償金額の算定に当たっては男性が夜中にブログを執筆していたことが睡眠不足に

影響した可能性なども考慮、一部を過失相殺した。

(日本経済新聞より)

2011/02/23

遺族「200時間残業協定は違法」

月に最大200時間の残業を認めた労使間協定と、それを受理した労働基準監督署

の対応は違法だとして、過労自殺した男性(当時24)の遺族が22日、国と会社に

約1億3千万円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。原告側弁護士によると、

民間企業での過労自殺を巡って国の行政責任を問う訴訟は初という。

訴状によると、男性は2007年にプラント補修大手の新興プランテックに入社し、

補修工事の監督などを担当。同社は組合と「納期が切迫すれば時間外労働を月200

時間まで延長できる。」との協定を結んでおり、男性は08年7月には残業時間が月218

時間に達し、同8月に精神障害を発症。同11月に自殺した。千葉労基署は10年9月に

労災認定した。

労働基準法は時間外労働を延長する場合、労使間協定を労基署に届け出ることを義務

付けている。延長は原則月45時間までだが、建設業など一部業種には上限を設けない

例外規定がある。

原告側の川人博弁護士は「月200時間という残業規定は異常で、例外規定自体も違法

の疑いが強い。事後に労災を認めてお金を払えばいいという問題ではない。」と主張。

会社側に是正を求めないまま協定を受理した労基署の責任を問うとともに、労働行政の

改善を求める考えを強調した。

(日本経済新聞より)

裁判の今後と残業時間のあり方に注目していきます。。。

特別条項の設定についても含めて・・・。

2011/01/24

30代の会社員。会社から余暇時間に家族や友人に自社製品を販売するよう

求められた。これまでも自社製品を販売するよう言われたことはあるが、今回

は販売目標を設定するという。販売目標まであるのならば、時間外・休日手当

を請求してもよい気がするが・・・・・。


     A.指揮命令下なら労働に 

経営環境が厳しくなり、営業職以外の従業員に余暇時間に自社製品の販売を

求める企業が増えている。営業活動に協力してもらうという趣旨だが、従業員は

業務と変わらない負担を感じる場合も多いようだ。

余暇時間に自社製品を販売することが時間外・休日労働にあたるかどうか。

残業問題に詳しい四方久寛弁護士は「余暇時間でも使用者の指揮命令下にあれ

ば、時間外・休日労働にあたる」と指摘する。

グループ企業の商品を家族や友人に販売するよう求められた社員が、自社製品の

販売やウェブ学習に要した時間について会社に時間外・休日手当を支払うよう求め

た裁判がある。裁判では勤務時間外の販売や学習が時間外・休日労働にあたるかが

争点になった。

一審・大阪地裁は昨年4月、社員が自社製品の販売に赴いた日の帰宅に要した時間

などを差し引いた時間外・休日手当214万円と、それに対する付加金60万円の支払い

を命じた。

判決は、ウェブ学習は業務との関連性が密接と指摘。自社製品の販売についても会社

が年間100万円の販売目標を設定していたことや、上司が目標達成状況を評価してい

たことなどから「業務上の指示によるものであり、労働時間性が認められる」と判断した。

一方、控訴審・大阪高裁は昨年11月、自社製品の販売、ウェブ学習ともに労働時間とは

認めず、時間外・休日手当の支払いを求める社員の請求を棄却した(社員側が最高裁

へ上告中)。

高裁判決は、ウェブ学習は従業員に自己研鑽のツールを提供して推奨しているにすぎな

いと指摘。自社製品の販売は、社員が業務命令と認識しても致し方ない面もあったが、

販売の時間や場所は任意に決定でき「使用者の指揮命令下とみることはできない」との

判断を示した。

労働法に詳しい井上俊一弁護士は「高裁判決は会社が就業の時間や場所を把握してい

なければ労働時間にあたらないという判断基準を示した。近年、就業形態の多様化が進

んでおり、最高裁の示す判断が注目される」と話す。⇒最高裁の判決が出るまでは、基準

は高裁の判断基準に基づいた解釈がされるということです。

    ポイント

①会社の指揮命令下にあれば、時間外・休日手当を支給。

②時間・場所が把握されず、指揮命令下と認めない裁判例も。

  余暇時間の自社製品を巡る判決趣旨

■一審・大阪地裁(2010年4月)

「年間100万円の売り上げが目標として設定されていたこと、目標の達成

状況を評価していたことなどからすれば、任意である旨の説明などを考慮

しても、業務上の指示によるものであって、労働時間性が認められる」

■控訴審・大阪高裁(2010年11月)

「販売作業は、その作業の時間、場所、方法は従業員が任意に決定でき、

それを使用者が把握することはそもそも想定されておらず、従業員が使用者

の指揮命令下に置かれていたとみることはできない」

(日経新聞 1月24日16ページより掲載)

2011/01/21

高等高裁、原告逆転敗訴

鬱病を発症した郵便事業会社の男性社員2人が、健康上のリスクが高い

連続深夜勤務は違法で就労義務がないことの確認などを求めた訴訟の

控訴審判決で、東京高裁は20日、2人の発症と連続深夜勤務との因果

関係を認め計130万円の賠償を命じた一審判決を取り消し、原告側の

逆転敗訴とした。

原田敏章裁判長は「鬱病と深夜勤務との因果関係は一般的に明らかに

なっていない」と指摘し「発症前の超過勤務や休日労働はほとんどなく、

過重な業務で心身の健康を害したものとも認められない」とした。

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