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2011/02/04
昨年より30万人減、事務職下回る
日本の就業構造が大きく変わってきた。総務省によると、製造・建設業などで
モノづくりに携わる就業者数は2010年に1,277万人となり、前年から約30万人
減少した。事務職の人数を初めて下回り、職業別で首位の座が入れ替わった。
生産拠点の海外シフトや公共工事の減少などが背景にある。専門・技術職などの
就業者数は増加を続けており、雇用の裾野を広げるためには企業や大学などでの
人材教育が一段と重要になる。
海外シフト一因
10年の就業者総数は6,256万人と3年連続で減少。少子高齢化の影響もあって働く
人の数は減少傾向にある。総務省が10分類している職業別の就業者数を見ると、
グローバル化などに伴う産業構造の変化を鮮明に映し出している。
工場などの生産工程や建設作業に従事する人の数は1953年の統計開始以来、
一貫して職業別で最多を占めていた。高度成長期に製造業で働く人が大きく増えたほか、
列島改造ブームなどで建設業も雇用の有力な受け皿となった。就業者数全体に占める
割合は30%前後が続き、人数も90年代前半には1,700万人を超えた。
85年のプラザ合意後の円高などで製造業が生産拠点を海外に移したことに加えて、
00年代に入ると公共工事も大きく減少。モノ作りに従事する人はこの10年で300万人
以上減った。10年は前年比28万人減の1,277万人で、65年以来の水準に落ち込んだ。
名目国内総生産(GDP)に占める比率を産業別にみると、製造業は09年に17.6%となり、
10年間で3.6ポイント低下。建設業も1.2ポイント低い6.1%となった。
専門職は増加
職業別の就業者数でモノ作り現場に次ぐ規模だった事務職もここ数年、頭打ち傾向にある。
10年は前年から11万人減って1,284万人になった。ただ、モノ作りの就業者数の減少ペー
スがこれを上回っているため、10年には初めて首位が入れ替わった。
就業者の総数が減少する中で働く人が増えている職業が専門職やサービス職。
エンジニアやプログラマーなどを含む専門・技術職は10年間で130万人増え、介護などを
含む保安・サービス業も140万人増加した。
産業構造の変化で専門・技術職やサービス職などの雇用は今後も増加することが見込ま
れる。しかし、こうした職業は高い技能や資格などが必要になるため、求人側が求める技能
と求職者の能力がかみ合わない傾向もある。シティグループ証券の試算では、企業と仕事
を探す人の希望がかみ合わない「ミスマッチ」による失業は完全失業率の7割以上を占めて
いる。
日本総合研究所の山田久主席研究員は「大学や企業などが連携して専門的な知識や
技能を身につけた人材を育成することが重要」と指摘している。
(日本経済新聞より)
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